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オレゴン
オレゴン・イン・コンサート
Oregon / Oregon-In concert


MTCJ-2552
2004/6/23
税込定価 \2.415 / 税抜価格 \2.300



収録曲
1. INTRODUCTION By George Schutz
2. BECOME, SEEM, APPEAR (Oregon)
3. SUMMER SOLSTICE (Ralph Towner)
4. UNDERTOW (Paul McCandless)
5. THE SILENCE OF A CANDLE (Ralph Towner)
6. TRYTON'S HORN (Oregon)
7. YET TO BE (Ralph Towner)
  PERSONNEL
Paul McCandless
 oboe, Engllish horn, bass clarinet,
 wooden flute
Glen Moore
 bass, flute, violin,
 piano on Tryton's Horn
Ralph Towner
 12 string and Classical guitars, mellophone,
 French horn, trumpet, piano on Yet To Be
Collin Walcott
 sitar, tabla, clarinet, percussion, congas



70年代オレゴンを集大成するライヴ作品、初のCD化。
4人のインタープレイは成果を上げ、
即興的な美しさに満ちた驚くべき音楽が展開される。


1975年4月8、9日にニューヨーク、ヴァンガード・スタジオで「スタジオ・ライヴ」の形でレコーディングされたアルバムだ。4年後のカーネギー・ホールでの「オレゴン・イン・パフォーマンス」(エレクトラ)と双璧を成すライヴ作品でありながら、この時期「第一期オレゴン」の総決算とての内容を持つ素晴らしい音楽が奏でられる。


オレゴンは1970年にポール・ウィンター・コンソートからラルフ・タウナー( g ,12st g,p)、コリン・ウォルコット (conga, ds,tabla)、グレン・ムーア(b)、ポール・マキャンドロス (eng h,oboe)の4人が分離、独立して生まれたグループだが、この「イン・コンサート」がリリースされる時期までに「北の星」( Music of Another Present Era 1972 Vanguard )、「遙かなる丘」( Distant Hills 1973 Vanguard )、「冬の陽」( Winter Light 1974 Vanguard) の3枚のオリジナルを発表している。さらにこれらに先だって1970年に「アワ・ファースト・レコード」を録音していたが、発表は上記の後となる。

1972年、創立して間もないECM から発表されたタウナーとグレン・ムーアの名による「トリオ/ソロ」(Trios/Solos ECM1025 1972)も同時期の作品だ。ニューヨークでレコーディングされドイツ、ルードウィヒベルクのトンスタジオ・バウアーでミックスされたこの作品は、マンフレット・アイヒャーの初期のプロデュース作の中でも傑出した一枚だ。アイヒャーがタウナーを中心とするウィンター・コンソート出身のアーティスト達と仕事を始めたのがこの時。ECMにおける現在まで30年以上に及ぶプロデュース・ワークの第一歩となる記念的第一歩だ。そしてこの「トリオ/ソロ」にはマキャンドロス、ウォルコットの二人も参加していて実質的にオレゴンのアルバムとなっている。

これら一連の音楽的成果を「ライブ」のかたちで表現したのがこの「イン・コンサート」だ。2日間にわたり限られた聴衆のみを相手におそらく10曲以上がレコーディングされたと思う。重複して演奏された曲もあっただろう、と想像してしまうが、ヴァンガードにオリジナル・マスター・テープがあればいつか「コンプリート・コンサート」を聴ける日が来るかも知れないという期待も膨らむ。それほどここに聴く演奏は素晴らしい。

ウィンター・コンソートからオレゴンへの最大の変化は自在な即興の導入だと言える。それがこのアルバムでは極限的に発揮されている。
本来、会話が成り立たないジャンルであるはずのギターとタブラ、シタール、ベース、多種のリード楽器を全く独自の方法でブレンドし、ジャズ的な即興から解き放ったのがオレゴンの特色だ。バロック音楽や古楽が本来持っていて、その後のクラシック音楽では失われた「オブリガート」「即興」の要素、インド音楽に根付いた無限に続き発展していく即興の要素、そしてジャズ的即興はオレゴン独特の集団インプロヴィゼーションの中に結実している。これを可能にしたのがウォルコットとタウナーの天才的な能力、リズムと和声の「呼び交わし」だ。

1960年代に試みられた「イースト・ミーツ・ウェスト」的にオーガニックな音楽と違って、ここできこえる音楽は凄まじいインタープレイに基づいている。楽しく、穏やかで、融和的なインタープレイに聴こえるが、その方法は全く独自なもので、以後どのグループにも達成されていない。


1. Introduction
の短いメンバー紹介に続いて。

2. Become, Seem, Appear
「出芽」。メンバー4人によるオリジナル。タブラとシングル・トーンのベースによる音楽空間の設定、12弦ギターのラーガ的奏法、浮遊するオーボエ、インド音楽からの影響を独自に発展させたオレゴンだけが作り出したタイム感覚と和声の世界が現れる。

3. Summer Solstice
「夏至」。ラルフ・タウナーのオリジナル。タウナーのECM作品「ソルティス」(1974)の中の"Winter solitice"(冬至)との連作になる。その後、同じメンバーで「ソルティス〜サウンド・オブ・シャドウズ」(1977)をレーコーディング、タウナーのテーマとなる。12弦ギターとタブラのインタープレイ、ウォルコットの自在で美しいリズムが心地良い。イングリッシュ・ホーンへテーマが引き継がれる。

4. Undertow
ポール・マキャンドレスのオリジナル。マキャンドレス(ベース・クラリネット)とグレン・ムーア(ベース)の二人のみによる。テーマに引き続いてインプロヴィゼーションが展開されるが、ドルフィーを思わせるプレイが素晴らしい。

5. The Silence of a Candle
「蝋燭の灯の静寂」。ラルフ・タウナーのオリジナル。「オーロラ」、「イカルス」などと共にオレゴンが生み出した美しいメロディだ。ウィンター・コンソートとしての作品「イカルス」には唄のヴァージョンがあり、タウナーのソロ・アルバム「ダイアリー」(ECM)ではピアノ・ソロで、また「冬の陽」などでも繰り返し取り上げられる作品だが即興性に満ちたこのアルバムの演奏が最高だろう。ヨーロッパ中世的なメロディで、暗く神秘的な旅、平穏と幻想の夜の世界が綴られる。タウナーのルネサンス、古楽的バックボーンを最も強く感じる作風だ。このアルバムではウォルコットのシタールがドローン風のイントロダクションに続きフロントでメロディーを奏でて神秘主義的な作風をひときわ美しく飾っている。シタールの独特なチューニングとタウナーの見事な演奏がたゆとうリズムの中に広がっていく。この素晴らしいコラボレーション(!)による世界は1984年のウォルコットの死以降、永遠に失われてしまった。

6. Tryton's Horn
「トライトンの笛」。ライブならではの集団インプロヴィゼーション。各自が楽器を持ち替えてフリーな即興を行うのもオレゴンの特色だ。現代音楽的な、あるいは「サークル」を思わせるようなフォルムに時代を感じる。

7. Yet To Be
「未到」。ラルフ・タウナーのオリジナル。複雑で長いテーマをマキャンドレスが提示、見事な演奏を行った後、タウナーのピアノ・ソロに向かう。
タウナーは「リ・パーソン・アイ・ニュー」を取り上げていたようにビル・エヴァンスの影響下から出発したピアニズムがある。さらにこの時期は同じECMアーティストとしてのキース・ジャレットからの影響も感じられるプレイが多い。端正で清々とした音楽性はピアノにも表れている。再びテーマに戻ってマキャンドレスとのユニゾンで曲を終える。
Takashi Tannaka 2004




メンバー・バイオグラフィー

ラルフ・タウナー
1940年、ワシントン州生まれピアノ、トランペットを学んだ後、オレゴン大学で音楽を学び、グレン・ムーアと出会う。1960年代ウィーンでカール・シャイトにバロック、古楽のギターを学ぶ。帰国後ニューヨークでジミー・ギャリソン、ジェレミー・スタイグと仕事をした後、ウィンター・コンソートに参加、同時にウェザー・リポート「アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック」(1971)に参加、この時期から12弦ギターの名手としてなを馳せる。1972年の「トリオ/ソロ」、次ぐ「ダイアリー」に始まるECMレーベルなどに現在までゲーリー・バートン、キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコックなどと作品、ソロなどに膨大なレコーディング・キャリアを持つ。1990年以降の「孤高の音楽性」を確立、フォーク、トラッド的な要素、バロック、アーリー・ミュージックからの独自な即興、作曲的才能でスタイルを確立、オレゴンの中枢。ジャズ以外の多くのファンも獲得して現在に至る。

コリン・ウォルコット
インディアナ大学でクラシック、バイオリン、打楽器を学んだ後、ラヴィ・シャンカール、アララカにシタール、タブラを学ぶ。トニー・スコットのグループなどを経て1970年、オレゴンに参加。独自のリズム感覚、アレンジ能力、タウナーとのコラボレートしたシタールの美しさはオレゴンに絶対的な美しさを与えている。タウナーと共に実質的リーダー。1972年にはマイルスの「オン・ザ・コーナー」に参加する。ドン・チェリー、ナナ・バスコンセロスとのグループ「コドナ」VOL.1からVOL.3をECMから発表。タブラ、シタールの奏法に新しい領域を開きハンマリング・ダルシマーでも絶大な影響をもたらした。1984年、オレゴンのツアーとして移動中、ドイツ、マグデブルクのアウトバーンで交通事故のため死亡。

グレン・ムーア
13才からベースを学習、1960年代、ニューヨークでニック・ブリグノラ、ポール・ブレイのシンセサイザー・ショウなどで活動。オレゴン参加後もラリー・コリエル、アネット・ピーコックなど独自の音楽性を持つアーティストとの共演が多い。「イントロデューシング」(1979 Electra)以降、エンヤなどにアルバム多数。オレゴンの中ではジャズ的なルーツを濃く持っている優れたベーシスト。

ポール・マキャンドロス
1968年からウィンター・コンソートに参加。サックス、イングリッシュ・ホルンなど多数のリード楽器をこなす。オレゴン以外ではECMレーベルにグループ「ギャラリー」、エヴァーハルト・ウェーバーとの作品など多数。リヴィング・ミュージックにもリーダー・アルバムがある。「非ジャズ的」な漂うようなリズム感覚、古楽器的でフォーキーな音色と音楽性は師であるウィンターとも違う独自の世界を持つ。