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オレゴン
北の星
Oregon / Music of Another Present Era


MTCJ-2551
2004/6/23
税込定価 \2.415 / 税抜価格 \2.300



収録曲
01. North Star
02. The Rough Places Plain
03. Sail
04. At The Hawk's Well
05. Children Of God
06. Opening
07. Naiads
08. Shard〜Spring Is Really Coming
09. Bell Spirit
10. Baku The Dream Eater
11. The Silence Of A Candle
12. Land Of Heart's Desire
13. The Swan
14. Touchstone
  PERSONNEL
Paul McCandless
 oboe, English horn
Glen Moore
 Bass, Electric Bass, Flute, Piano
Ralph Towner
 Guitar, Classiccal Guitar,
 12 Strings Guitar, piano, mellophone
Collin Walcott
 Sitar, Tabla, Mridangam, Violin,
 Esraj, Percussion, Guitar



初期の傑作。
エスニック、バロック、現代音楽、ジャズを統合した
全く新しい音楽の誕生。


すばらしいオリジナルと非ジャズ的インプロヴィゼーションの融合を示す最高の音楽が展開される。4人のコラボレーション、曲の素晴らしさ!オレゴンのみが持っていたユニークな音楽は現在でこそ評価されるものだ。バロック的装飾と即興、フォーク、ジャズ、そしてエスニック・ミュージックを取り入れた音楽はウィンター・コンソートからさらに前進したコンセプトを持っている。


「北の星」の原題「ミュージック・オブ・アナザー・プレゼント・エラ」は「もう一つの現代の音楽」、しかし「もう一つの別世界のための音楽」という「パラレルワールド」的ニュアンスを感じてしまう。1980年に発売された「アワ・ファースト・アルバム」にはメンバーによるライナー・ノーツが掲載されてあり、当初このグループを「タイム・ミュージック・オブ・アナザー・プレゼント・エラ」と名付けようとした経緯が記されている。「どんな音楽をやっているのですか?」という問いに「もう一つの別世界のための音楽」という答えを彼らは用意していたのである。
そしてこのタイトルは最初の作品として実現した本作品に名付けられた。現在まで34年間も継続しているオレゴンの独自性が始めて結晶したのがこのアルバム、種子はこの時に蒔かれていて、以後は発展と継承が行われる。

1970年にポール・ウィンターの率いる「ウィンター・コンソート」から独立した4人がつくったグループ「オレゴン」の1972年のファースト・アルバムが「北の星」である。実際はこれに先だつ1970年に「アワ・ファースト・アルバム」(MTCJ - 2550) がカリフォルニアでレコーディングされ1980年に発売されている。どのような理由で「アワ・ファースト・アルバム」の発売が遅れたかは理解できない。同じ1970年のウィンター・コンソートのアルバム「ロード」(A&M)で達成されたクラシック、エスニック音楽などを取り入れたパラダイス的な世界を発展させたのがこのアルバムと「北の星」のあいだには大きな違いがある。

「北の星」を聴くときオレゴンの独自性が完全に結晶した世界が始めて開花したのを知ることになる。ギター、ピアノ、タブラ、シタール、リード類、ベースという極めて特異な楽器編成は基本的にウィンター・コンソートの発想を継いだものだ。しかし、ウィンター・コンソートが持っていた1960年代的な理想主義、クラシック、エスニック音楽とのクロスオーヴァーやアレンジを越えて、作曲と即興が自由に合体した世界をつくることがオレゴンの目的だったと思われる。ウォルコットの漂う16ビート、6/8のリズムはジャズ的発想からかけ離れたインプロビゼーションを呼ぶ。リズム・パターンはギター、ベースを呼び込んで複雑に発展していく。「主題と即興」は一体化されて極小な世界で表現される。1984年のウォルコットの死以後、リズムの主軸はトリロク・グルトゥ、マーク・ウォーカーと引き継がれていくがウォルコットの匂い立つようなスポンテニアスな音楽は還ってこなかった。その意味でヴァンガードからECM初期までのほぼ10年間のオレゴンが最も美しい時期だった。

アルバムを構成しているのは14の小さい世界、長いもので5分短い曲は1分にも満たない。最小単位の「ミニマム的」で「詩的な小品集」とでもいった音楽の集合体が「北の星」である、この後の「ディスタント・ヒルズ」からライブ作「イン・コンサート」まで一曲一曲は発展し長くなり、ひとつのアルバムが6曲ほどで構成されるまでになる。オレゴンの出発点として完結した美しさを持った世界が展開される。

1. 北の星/NORTH STAR
タブラのイントロでいきなり別世界に誘われる、タウナーの独特の半音階的な作曲だ。ウォルコット(タブラ)、タウナー(12弦ギター)ムーア(ベース)、タウナー(ピアノ)、マキャンドレス(イングリッシュ・ホルン)など各楽器が複雑なフォルムで混じり合って交差していく。難解な印象を残さない美しく自然な流れはウォルコットの漂うようなビートが全体を支配しているからだ。

2. 荒野/THE ROUGH PLACES PLAIN
シタールとギターによるテーマのないインプロビゼーション。ペンタトニック的な即興と鋼索する音響は決してノイジーにならない。

3. 帆/SAIL
ウォルコットによる素晴らしい作曲。オレゴン初期を代表する曲で後に編集された各種のベストでも含ませることが多い。マキャンドレスが長く複雑なフォルムを持った主題が2度提示、その間にタウナー、ウォルコット、ムーアが一丸となってリズムを形づくりマキャンドレスのソロをバックアップする。タウナーの短いソロはシタール的な効果を取り入れながらひらめきに満ちたカッティングを聴かせる。オレゴン独特の曲の構成でこの手法は以後のアルバムで長い曲に発展していく。

4. 鷹の泉にて/AT THE HAWK'S WELL
ムーアによる。タウナーのピアノの下降するシンプルなリフ。タウナーがビル・エヴァンスの強い影響下にあることは「リ・パーソン・アイ・ニュー」「グロリアズ・ステップ」などを取り上げていることでもわかる。この作品から1年後、ECMからのソロ・アルバム「ダイアリー」(1973年4月)では見事ナピアノ・ソロを聴かせている。

5. 神の児たち/CHILDREN OF GOD
全員によるインプロビゼーション・チューン。このパターンはライブを含めて繰り返して行われていく。決まった主題の設定はおそらく無かったと思われるが、転調と共に次々に新しいテーマが表れる。ウィンター・コンソート時代には考えられないタイプの相互交感。

6. 開幕/OPENING
短いコレクティブ・インプロヴィゼーションによる。マキャンドレスの「呼び交わし」フレーズによる曲の構成もこの後、現在まで継続する。「師匠」のポール・ウィンターとの近親性を感じてしまう音楽だ。ウィンターは1980年代以降「音響系」とも言える新しい世界でこの「コーリング」のパターンを多用することになる。

7. 水の精/NAIADS
タウナーのピアノとマキャンドレスの短いインプロヴィゼーション。

8. 鞘翅〜春の訪れ/SHARD〜SPRING IS REALLY COMING
マキャンドレスとムーアによる。ムーアのベース・ソロをフィーチャーしたアブストラクトな曲。

9. 鐘の精/BELL SPIRIT
マキャンドレスの短いソロ。

10. バク、夢を喰む動物/BAKU THE DREAM EATER
再び全員による。ウェザー・リポート直前のウェイン・ショーター「三部作」を思わせる詩的なフリー・インプロヴィゼーション、断片的に集められた音響が美しく展開される。タブラ、シタールでのウォルコットのプレイが素晴らしい効果をある。オレゴンの音楽はフリーでありながら文学的で静謐な美をもっている。

11. 一本の沈黙するロウソク/THE SILENCE OF A CANDLE
ラルフ・タウナーのオリジナル、オレゴンが生み出した最も美しいメロディのひとつ。ヨーロッパ中世的なメロディで、暗く神秘的な旅、平穏と幻想の夜の世界が綴られる。ウィンター・コンソートの「イカルス」ではヴォーカル・ヴァージョン、タウナーのソロ・アルバム「ダイアリー」(ECM, 1973)ではピアノ・ソロ、オレゴンの「イン・コンサート」などでも繰り返し演奏される作品だ。ハタウナーの短いイントロダクションに続いてウォルコットのシタールがメロディを奏でる。ここでの1コーラスのみのアプローチを拡大したのが「イン・コンサート」のヴァージョンということになる。

12. わが憧れの地/LAND OF HEART'S DESIRE
タウナー中心の多重録音による構成。このダイアローグのパターンはECMでのソロ作品で発展していく。

13. 白鳥/THE SWAN
マキャンドレスのオリジナル。オーボエで奏でられる長尺のメロディ・ライン。即興のパートを持たない長いストレート・メロディだけで「一曲」を形づくってしまうやり方はこのアルバムに見られる特徴だ。

14. 試金石/TOUCHSTONE
タウナーらしい独特で複雑なメロディ・ラインを持った曲。ソロはマキャンドレスからタウナーの12弦ギター、ムーアのベースとバトン・タッチされる。




メンバー・バイオグラフィー

ラルフ・タウナー
1940年、ワシントン州生まれピアノ、トランペットを学んだ後、オレゴン大学で音楽を学び、グレン・ムーアと出会う。1960年代ウィーンでカール・シャイトにバロック、古楽のギターを学ぶ。帰国後ニューヨークでジミー・ギャリソン、ジェレミー・スタイグと仕事をした後、ウィンター・コンソートに参加、同時にウェザー・リポート「アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック」(1971)に参加、この時期から12弦ギターの名手としてなを馳せる。1972年の「トリオ/ソロ」、次ぐ「ダイアリー」に始まるECMレーベルなどに現在までゲーリー・バートン、キース・ジャレット、ゲイリー・ピーコックなどと作品、ソロなどに膨大なレコーディング・キャリアを持つ。1990年以降の「孤高の音楽性」を確立、フォーク、トラッド的な要素、バロック、アーリー・ミュージックからの独自な即興、作曲的才能でスタイルを確立、オレゴンの中枢。ジャズ以外の多くのファンも獲得して現在に至る。

コリン・ウォルコット
インディアナ大学でクラシック、バイオリン、打楽器を学んだ後、ラヴィ・シャンカール、アララカにシタール、タブラを学ぶ。トニー・スコットのグループなどを経て1970年、オレゴンに参加。独自のリズム感覚、アレンジ能力、タウナーとのコラボレートしたシタールの美しさはオレゴンに絶対的な美しさを与えている。タウナーと共に実質的リーダー。1972年にはマイルスの「オン・ザ・コーナー」に参加する。ドン・チェリー、ナナ・バスコンセロスとのグループ「コドナ」VOL.1からVOL.3をECMから発表。タブラ、シタールの奏法に新しい領域を開きハンマリング・ダルシマーでも絶大な影響をもたらした。1984年、オレゴンのツアーとして移動中、ドイツ、マグデブルクのアウトバーンで交通事故のため死亡。

グレン・ムーア
13才からベースを学習、1960年代、ニューヨークでニック・ブリグノラ、ポール・ブレイのシンセサイザー・ショウなどで活動。オレゴン参加後もラリー・コリエル、アネット・ピーコックなど独自の音楽性を持つアーティストとの共演が多い。「イントロデューシング」(1979 Electra)以降、エンヤなどにアルバム多数。オレゴンの中ではジャズ的なルーツを濃く持っている優れたベーシスト。

ポール・マキャンドロス
1968年からウィンター・コンソートに参加。サックス、イングリッシュ・ホルンなど多数のリード楽器をこなす。オレゴン以外ではECMレーベルにグループ「ギャラリー」、エヴァーハルト・ウェーバーとの作品など多数。リヴィング・ミュージックにもリーダー・アルバムがある。「非ジャズ的」な漂うようなリズム感覚、古楽器的でフォーキーな音色と音楽性は師であるウィンターとも違う独自の世界を持つ。